フリーランスの事前知識

フリーランスとして独立後にやるべきことチェックリスト

毎日の定時出社、疲れのたまる残業からようやく解放される〜!……と浮かれてはいませんか? 長年の会社勤めを辞め、晴れてフリーランスとしての一歩を踏み出すとき、多くの方は気が緩んでしまうものです。

退職してしばしの間、リラックスするのはいいですが、ダラダラと時間を無駄にしてしまわないこと。独立後はそう日を空けず、すぐに活動をはじめるべきだと振り返ったとき私は思います。

独立直後に「まず何をしたらいいの?」と皆さんが迷ってしまわないように、独立後に必須のToDo・やったほうがいいToDoをまとめてみました。

独立後、必ずやるべきこと

まずは、フリーランスとして独立後、必ずやるべきToDoをご紹介します。ToDoは全部で大きく4つ。

「開業届の提出」「青色申告承認申請書の提出」「国民健康保険への加入 or 任意継続の手続き」「国民年金への加入手続き」です。それでは、解説いたします。

開業届の提出

独立したら、まずは「開業届」を提出しましょう。開業届(正式名「個人事業の開廃業届出書」)は、所轄の税務署に申告する書類です。

開業届のメリットには、「確定申告の青色申告で必要となること」「屋号のついた銀行口座を作れること」「クレジットカードやローンの審査がおりやすくなること」があります。

これらのメリットを受けられるうえで、申請は所轄の税務署ですぐ終わりますので、基本的に独立したら開業届を出すようにしましょう。

税務署によると、「開業日から1ヶ月以内に提出するように」とアナウンスされていますが、1ヶ月以上経過していても特に罰則はありませんので、ご安心ください。

※参考:国税庁「[手続名] 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

青色申告承認申請書の提出

開業届とセットで提出したいのが、「青色申告承認申請書」。確定申告の種類には「白色申告」と「青色申告」の2つがありますが、青色申告のほうがメリットが多いので、原則的には青色申告で行なうようにしましょう。青色申告のメリットは、大きく以下の3つです。

  • 最大65万円まで控除がされる
  • 最大3年間、赤字の繰り越し処理が可能
  • 家族への給与を経費にできる(青色申告の専従者給与)

青色申告にするには、先ほどの「開業届」の提出と「青色申告承認申請書」の提出が必要になります。

※ 参考:国税庁「No.2070 青色申告制度」

国民健康保険への加入

会社を退職したら、14日以内に所轄の市役所で国民健康保険への加入手続を行ないましょう。国民健康保険への加入の際には、「社会保険の資格喪失証明書」や「雇用保険の離職票」など、”いつ退職したかが記載されている書類”が必要です。

なお、会社員時代に入っていた社会保険を任意で継続することも手続をすれば可能ですが、原則的にはフリーランスとして活動するならば、国民健康保険への移行がオススメです。

国民年金への加入

フリーランスとして独立したら、会社員時代の厚生年金から国民年金へと移行する必要があります。所轄の市役所または税金事務所で申請を行ないます。

申請時に必要なものは「年金手帳」と退職日がわかる「社会保険の資格喪失証明書」「雇用保険の離職票」「身分証明書」「印鑑」です。

なお、国民年金は会社員の厚生年金と比べ納付額が少ないため、老後の給付額も少なくなってしまいます。将来の給付額が少し心配な方は、国民年金に上乗せしたり、金融商品の運用を行なう「国民年金基金」や「確定拠出年金(iDeCo)」「付加年金」「小規模企業共済」などの併用もご検討ください。

※ 参考:厚生労働省「公的年金制度の概要」

独立後、やっておくといいこと

次に、フリーランスとして独立後、可能であればやっておいたほうがいいことをご紹介します。こちらのToDoは全部で大きく3つ。
「名刺の作成」「会計ツールの選定」「見積書や請求書などの雛形作成」です。それでは、解説いたします!

オンライン上で受発注することが多いであろうフリーエンジニアでも、やはり仕事関係のお付き合いでリアルの場で名刺を交換する機会があります。私もわざわざ紙で印刷する必要があるのか?と思っていましたが、遅かれ早かれ必要となるかと思いますので、サクっと作成しておきましょう。

名刺は、完全にイチから自分で作成する方法とデザインや文字組みをデザイナーに依頼して作成する方法の大きく2つがあります。便利な名刺作成サービスも多数ありますので、それらを利用するのもいいですね。
以下は代表的な名刺作成サービスです。

会計ソフトの選定

フリーランスは税理士さんに依頼をしない限り、自分ひとりで毎年の確定申告を行わなければなりません。最大65万円の控除のメリットを考えると、青色申告の一択!

青色申告では「仕訳帳(記帳)」と「決算書(貸借対照表・損益計算書)」を作成し提出する必要があります。これらの作業をイチから普段の本業と合わせて行なうのはとても大変ですので、最初の記帳だけで必要な書類を自動作成してくれる会計ソフトを利用しましょう。

会計ソフトには、ローカル環境でも使用できる「デスクトップ型ソフト」とブラウザ上で使用する「クラウド側ソフト」があります。有名なところで「 やよいの青色申告オンライン 」「 会計ソフトfreee(フリー) 」「 マネーフォワードクラウド確定申告 」などがあります。

見積書や請求書などの雛形作成

イチから事業をはじめると、会社員時代は用意されていて当たり前だった各契約書や必要書類を自分で手配しなければなりません。案件の受注時に毎度使用する可能性が高い書類については、事前に雛形を準備しておくと便利です。

  • 請求書
  • 見積書
  • 業務委託契約書
  • NDA(秘密保持契約書)
  • 納品書

事前に雛形を準備しておいたほうがいい契約書・書類は上の通りです(その他にもあるかもしれませんが)。雛形はネットで検索すればたくさんヒットしますので、自分にあったものを選びましょう。

もしものための失業保険

失業保険とは、求職者が退職から再就職(個人事業主の開業も含む)までの間、安心して生活を送られるようにと支給される基本手当です。手当を受けるには申請が必要で、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 再就職の意思があること
  • 離職日、以前の2年間に「被保険者期間」が通算で12ヶ月以上あること

ただし、特定受給資格者または特定理由離職者については、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある場合でも可能

申請には以下の書類が必要となります。

  • 離職票
  • 個人番号確認書類
  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 写真
  • 手当の振込先口座の預金通帳またはキャッシュカード

手当の金額は、離職前の年収や年齢によっても変わってきますが、おおよそ月に7〜8万円ほど振り込まれると考えてください。ただ、申請すれば手当はすぐ振り込まれるというわけではなく、1週間の待機期間と3ヶ月の給付制限期間の後(つまり、最短でも約3ヶ月半後)に支給されます。

ですから、離職してから向こう3ヶ月以内、個人事業の活動を主だって行なわない場合のみ、手当の該当となるのです。本格的な事業活動を行なうとなると「就職した」と見なされ手当を受け取ることはできなくなります。

ただし、仮に手当を受け取りはじめて受給期間の満額を受け取る前に手当を解除する(就職した、開業したと申請された場合)でも、再就職手当を受け取れるケースが多いため、いずれにせよ、失業保険を申請していてもいいかもしれませんね。

まとめ

記事では、「フリーランスとして独立後にやるべきことチェックリスト」をご紹介させていただきました。これまで長く勤めていた会社を退職すると、誰もが「少しは余暇の時間を過ごそう」とダラダラと過ごしてしまいがちです。

ですが、そうすると冗長にオフが続いてしまうので、期日を設けてメリハリをもち、フリーランスとしてのToDoを一つひとつ片付けていくことが大切です。慣れない行政手続きに少し疲れてしまうかもしれませんが、落ちついてひとつずつ処理していきましょう。

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