現場サバイバル戦略

SESの現場で手が止まったら読む話。外から整理するという選択肢

10年ぶりにSESの現場に入って、最初に感じたのは違和感でした。チームとして機能しているように見えるのに、メンバーが完全な他人として動いている。協業が生まれない。ベテランがほとんどいない。そして必ず、追い詰められているメンバーとそうでないメンバーに分かれている。

この違和感の正体を考え続けたとき、一つのことが見えてきました。現場で手が止まっているエンジニアには、共通したメカニズムがあります。現場の問題でも、本人の能力の問題でもなく、SES現場という構造そのものが、エンジニアを一人で追い詰めるように機能しているということです。

半年以上、同じ現場に常駐しているのに、Shellが書けない。設計書が進まない。仕様が固まらない。そういう状況に置かれたとき、あなたはどこに相談していますか?「社内の誰かに頼む」「ネットで調べる」「とりあえず手を動かしてみる」——その選択肢しか思い浮かばないとしたら、この記事を最後まで読んでみてください。現場の外から、論点整理・仕様整理・作成支援を受けるという選択肢があります。

なぜSES現場のエンジニアは追い詰められるのか

SES現場で手が止まっているエンジニアの多くは、現場に入る前から既に消耗しています。追い詰められるのは現場に入ってからではなく、入る前・入る瞬間・入った後の3段階で構造的に積み上がっています。

エンジニアを選んだ動機の本音

「手に職をつけたい」「将来性のある仕事に移りたい」——エンジニアを選んだ理由としてよく聞く言葉です。ただしその裏にある本音を掘り下げると、少し違う景色が見えてきます。

  • 今の仕事を続けても、外で通用する力として残らない
  • 年齢が上がるほど、逃げにくくなる
  • 低収入のままだと、辞める自由も学ぶ自由もない
  • 努力や成果が報われず、政治と空気で全てが決まる

希望を持って選んだというより、追い詰められた末にたどり着いた選択肢である場合がほとんどです。
つまりエンジニアという職種を選んだ動機の核心は、前の環境からの逃避です。消耗した状態のまま、新しい現場に入っていきます。あなた自身がエンジニアを選んだとき、その動機の本音はどこにありましたか。

SES参画時点で既に噛み合っていない

消耗した状態で参画するだけなら、まだ立て直せます。ところがここにもう一つの問題が重なります。

エージェントの都合で経歴が実態より強く書かれることが珍しくありません。
「3年以上の経験がないと入れない現場」に、実質半年以下の経験で入るケースがあります。

  • 今の額では逃げる自由がない
  • 生活を維持するだけで精一杯で選択肢が増えない
  • 需要が残る仕事に移った方が生存確率が高いと考えた

本人も薄々気づいています。でも生活がある。断れない。そうして実力と現場の難度が最初から噛み合わない状態で仕事が始まります。現場に入った瞬間から、手が止まる条件が揃っています。

現場の構造が一人で抱え込ませる

現場に入ると、今度は構造的な問題が待っています。どこまでが自分の担当かが定義されないまま仕事が始まる。

  • 「とりあえずやって」で動き出したら途中で仕様が変わり手戻りが続く。
  • 声の大きい人間に押されて、論点より空気で仕事を引き受けてしまう。

おかしいとわかっていても、それを言葉にして返せない。
そして誰にも相談できないまま一人で抱え込みます。客先には経験者として入っている手前、基礎的なことは聞けない。

社内の営業に相談しても技術的な細部まで一緒に考えてはもらえない。チームにいるのに、実質は孤立しています。

このまま続けると身体と心が先に限界を迎える

詰まってからかなり時間が経ってようやく助けを求めようとしても、その頃には被害が広がっています。

不可能な量の仕事をこなし続けた先に待っているのは、身体への支障です。「この働き方を続けると壊れる」という感覚は、多くのエンジニアが転職理由として挙げる言葉です。
それでも現場を離れられない。

  • 生活がある。
  • 次が見つかるかわからない。
  • 逃げる自由がないから、

結局は壊れるまで続けてしまいます。あるいは、心が先に限界を迎えます。

その結果、

  • 一人でトイレに篭って画面を眺める。
  • 誰にも言えない。
  • 相談する場所もない。

その状態が続きます。
これは個人の問題ではありません。SES現場の構造が、エンジニアを一人で追い詰めるように機能しています。一人で抱えることに限界があるなら、現場の外から第三の視点で支援を受けるという選択肢が残ります。

なぜ現場の中からでは解決できないのか

現場で手が止まっているとき、「社内の誰かに相談する」という選択肢が最初に浮かびます。しかし実際には、現場の中にいる人間だけで解決できない構造的な理由があります。

客先には「聞けない空気」がある

客先常駐のSES現場では、「これを聞いたらまずい」という空気が生まれやすいです。この「聞けない」には2つの側面があります。

  • 自分側の問題
    経験者として参画している手前、基礎的なことは聞けない。
    特にある程度のキャリアを積んでいる場合、「こんなことも知らないのか」と思われることへの恐れが強く働きます。
  • 手側の問題
    そもそも聞かれた側の客先担当者自身が、仕様を理解していないケースが現場では珍しくありません。
    「とりあえずやって」という指示が飛んでくる背景には、指示を出している側も答えを持っていないという実態があります。

つまり「聞けない」のではなく、「聞いても答えが返ってこない構造」になっています。この構造の中で一人で答えを出そうとするから、手が止まります。あなたの現場で「とりあえずやって」と言われた経験はありませんか。

社内の人間も技術的な細部までは入れない

社内の営業は技術そのものがわかりません。相談しても返ってくるのは「頑張ってください」「何かあれば言ってください」という言葉だけです。技術的に詰まっている問題に対して、的確な助言が返ってくることはほとんどありません。

上長はどうかというと、「実装は任せる」というスタンスが多いです。
しかし現場で多くのエンジニアが悩んでいるのは、まさにその「実装方法」です。任された側が実装の入口で止まっているのに、任せた側はその事実に気づいていない。この認識のズレが、問題を長期化させます。

実際にShellが書けないエンジニアに対して、白紙のまま「書いてみて」と言っても間違いなく全員止まります。ところがテンプレートを渡して「このフォーマットの必要な箇所にロジックを書いていく」という形にすると、時間はかかっても動き出せます。次の停滞箇所を自分で説明できるようになるため、助言もしやすくなります。

営業には技術がなく、上長には現場の詰まりが見えていない。つまり社内に技術的な問題を一緒に解決できる人間がそもそも存在しない状態です。だから外から技術的な叩き台を持ち込む人間が必要になります。

現場の中にいると論点が見えなくなる

「この仕様、おかしくないですか?」と感じても、現場ではなかなか声に出せません。理由は関係性への配慮だけではありません。自分の指摘が的外れだった場合、鬼の首を取ったようにマウントを取られる。その後の力関係に影響する。そういう恐れが、発言を止めます。

つまり沈黙の正体は「言えない」ではなく「言う自信が持てない」です。仕様がおかしいのか、自分の理解がおかしいのか、その判断自体ができない状態で現場に立っています。

外から見れば、その判断はフラットにできます。客先とも社内とも利害関係がないからこそ、「この仕様はおかしい」「責任分界はここで切るべきだ」という論点をそのまま論点として扱えます。

相談相手が一人いるだけで、状況は全く変わる

プロスポーツ選手には必ずエージェントが存在します。選手が競技に集中できるのは、交渉・整理・判断を外から支援する人間がいるからです。エンジニアも技術を扱うプロである以上、同じ構造があって当然です。

実際にその役割を担っているのが転職エージェントです。しかし彼らは技術を理解していません。
理解しているように見せながら、実態は経歴書と求人票を繋いでいるだけです。技術的に詰まっている問題に対して、的確な助言ができる立場にありません。

すべての問題を解決するセオリーは協業です。一人で抱えているから限界を迎える。技術を理解した上で外からフラットに整理してくれる相談相手が一人いるだけで、状況は全く変わります。

相談することで何が変わるのか

「相談する」という行為を軽く見ている人ほど、一人で抱え込んで限界を迎えます。相談することで何が変わるのか。最も大きいのは、「何が問題なのか」が見えるようになることです。

現場の中にいると、問題の全体像が見えなくなります。詰まっている箇所だけに意識が集中して、そもそも何がおかしいのかが判断できなくなる。外から見ている人間に状況を話すだけで、問題が言語化されます。

言語化された問題は、解決の糸口が見えます。「何が止まっているかわからない」という状態のまま持ち込んでもらえれば、そこから一緒に解きほぐします。

叩き台を渡すことで動き出せる

白紙のまま「書いてみて」と言われても、間違いなく手が止まります。しかし叩き台があれば動き出せます。Shellであればテンプレートを渡して「このフォーマットの必要な箇所にロジックを書いていく」という形にすると、時間はかかっても前に進めます。

叩き台を渡すことで、次の停滞箇所が具体化されます。「ここまでは書けたけど、この部分がわからない」という形で問題が絞られるため、次の助言もしやすくなります。

止まっている状態から動ける状態を作ること、それが最初のゴールです。あなたの現場で、最初の一歩を踏み出せずに止まっているものはありませんか。

仕様整理・責任分界を外から切り分ける

「とりあえずやって」で動き出した結果、途中で仕様が変わり手戻りが続く——この問題の根本は、着手前に仕様が固まっていないことです。外から入ることで、着手前に確認すべき項目を洗い出し、未確定事項を明文化してから動く状態を作れます。

責任分界も同様です。どこまでが自分の担当かが曖昧なまま動くから、問題発生時に全部背負わされる。外からフラットに責任範囲を整理し、文面化してから現場へ返すことで、不要な負荷を減らせます。技術を理解した人間が外から入るからこそ、この整理ができます。

支援の流れは3段階

外から支援を受ける流れは、大きく3段階に分かれます。

最初は相談です。何が止まっているかを言語化するところから始めます。次に仕様整理です。責任分界・入力・出力・対象ファイル・レビュー有無を固めます。最後に代行です。仕様が固まったものだけを作成します。

どの段階から入るかは案件によって異なります。「まだ何が問題かも整理できていない」という段階でも構いません。仕様が固まっていないまま見積を出すことはしません。固まったものだけを作る、というのが基本的なスタンスです。

当ブログでは、必要な場面に向けたお手伝いも始めています。

論点整理、仕様整理、責任分界の切り分けなど、実務で前に進めなくなった場面を対象にしています。
まずは、対応できる内容を下記ページにまとめています。

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