Shellの基礎知識(実践編)

【Shellの基礎知識】設計から運用まで自動化の仕組みを解説|RHEL系Linux対応

実践編では、基礎構文の理解を前提に、実際の業務を効率化するシェルスクリプトをテーマ別に解説します。

単なるコマンド習得ではなく、「どのような設計思想でスクリプトを組むか」「どこまで自動化できるか」に焦点を当てています。

サーバー構築・運用・保守を通じて“生きたShell”の使い方を体得できます。

基本共通|スクリプト設計の基礎構造を固める

実践的なシェルスクリプトを組むうえで鍵となるのは、「再利用性」と「保守性」を両立させる設計です。

本セクションでは、ログ出力やテンプレート化、共通関数など、現場で活用される構造設計の考え方を整理しています。

チーム開発でも使い回せる“骨格スクリプト”を整備し、長期的な運用に耐えうる仕組みづくりを目指します。

ログ出力ロジックの基本

シェルスクリプトのログって、みんな適当にechoで出してるけど本当にそれでいいの?

あとで原因調査するときに、どこで失敗したのか全然追えなくなるんだよな…

シェルスクリプトにおけるログ出力は、単なるメッセージ表示ではなく、処理の可視化と保守性の要です。

この記事では、ログの出力先・レベル・書式を統一するための基本構造を示し、logger.shrcを用いたlogOut "INFO" "メッセージ"形式の実装を紹介しています。

標準出力とファイル出力を分離し、異常系の識別を容易にする設計方針も整理。

運用現場で求められる「追跡しやすく、再利用できるログ処理」を実現するための実装指針を具体例とともに解説しています。

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テンプレートによる開発効率化

毎回新しいスクリプトを作るたびに構成を考えるのが面倒なのよね…。
ログ設定とかtrap処理とか、毎回コピペして修正するのも地味に時間かかるし、もっと効率的に作る方法ないのかな?

シェルスクリプト開発を効率化するには、毎回ゼロから書かない仕組みが重要です。

この記事では、共通構造をテンプレート化することで、ファイル作成からログ設定、trap制御、終了処理までを自動挿入できる方法を紹介しています。

特にscopeやstartLogなどの統一ルールを取り入れることで、全スクリプトが同一形式で動作し、可読性と保守性が大幅に向上します。

テンプレートは単なる雛形ではなく、チーム全体で同じ品質基準を維持するための“設計基盤”として機能します

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共通関数クラスの設計と運用

関数を別ファイルにまとめるって本当に効率上がるのかな?

スクリプトが増えるほど依存関係も複雑になりそうで、逆に管理が面倒にならない?

シェルスクリプトの開発では、重複処理を避けて安定運用を実現するために「共通関数定義クラス」の整備が欠かせません。

utils.shrcでは、引数チェック、ファイル存在確認、日付整形など、あらゆるスクリプトで使える汎用処理を関数として集約。呼び出し側は共通クラスを読み込むだけで機能を統一でき、開発効率と保守性が大幅に向上します。また、関数名の命名規則やスコープ設計を統一することで、予期せぬ副作用や変数衝突を防止。

複数人での開発や長期運用でも安定した品質を維持できる、再利用性の高い設計手法を体系化しています。

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開発環境構築|RHEL系Linuxを基盤にした自動構築スクリプト

RHEL系Linuxをベースに、Apache・Tomcat・PostgreSQLなどの開発環境を自動構築します。

複数のサーバーを立ち上げる際に手動設定を排除し、同一条件で再現できるインフラを整えます。

これにより、作業効率と信頼性が大幅に向上します。

初期設定の自動化

毎回サーバーを手動で設定してるけど、権限とかネットワーク設定を忘れてミスが多いのよね…。

一度に全部自動でできる方法ってないのかな?

RHEL系Linuxの開発環境構築では、初期設定を手作業で行うと環境ごとの差異や設定漏れが発生しやすく、運用の安定性を損ねます。

初期設定スクリプトを自動化すれば、ユーザー作成・権限付与・パッケージ導入・ネットワーク設定などを一括で実施でき、再現性の高い環境を即座に構築可能です。スクリプトは段階的に処理を行う構成で、エラー検知とログ出力を組み込み、実行結果を追跡しやすい設計になっています。

これにより、構築作業を属人化させず、誰が実行しても同一品質の環境を再現できます。

特に、複数サーバーへの横展開や検証環境の再構築が頻繁な現場では、大幅な時間短縮と品質安定化を実現できる実践的アプローチです。

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Apache+SSLの自動構築

Apacheの設定って毎回同じ作業の繰り返しなんだけど、SSLの更新とかバーチャルホスト設定も含めて全部自動化できないのかな?

手作業だといつも細かいミスが出るんだよな…。

RHEL系LinuxでWebサーバーを運用する際、Apacheの構築とSSL設定は最も手間のかかる初期工程です。手作業で設定すると証明書更新の失敗やバーチャルホスト設定の不整合が発生しやすく、再構築に時間を奪われます。

本稿で紹介されている自動構築スクリプトでは、ApacheのインストールからLet's EncryptによるSSL証明書の取得・更新までを完全自動化。設定ファイルを動的に生成し、複数のバーチャルホスト環境にも柔軟に対応します。手動構築と比較して作業時間を大幅に短縮できるほか、構成の再現性と保守性も向上。

Webサービスの立ち上げを定型化することで、安定稼働とセキュリティを両立させた運用基盤を効率的に整備できます

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Tomcat自動インストール

Tomcatの構築って毎回設定ファイルいじるのが面倒なんだよな…。

環境によってポートとかディレクトリも違うし、全部自動でセットアップできる仕組みってないのかな?

RHEL系LinuxでJavaアプリケーションを動かす際に欠かせないTomcatの構築を自動化したスクリプトに焦点を当てた内容です。

手動設定では環境差異による不具合が起こりやすい一方、このスクリプトはTomcatのインストール、ポート設定、環境変数、サービス登録までを一括処理。systemd対応の自動起動にも対応しており、構築から運用までを省力化します。

設定ファイルの生成はテンプレート化され、構成の再現性が高く、複数サーバーへの展開も容易です。

ログ出力やエラーハンドリングも組み込まれ、問題発生時の追跡が容易。再利用性を意識した構成により、開発・検証・本番環境の整合性を保ちながら、安全かつ高速にTomcat環境を整えることができます

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PostgreSQLの自動導入

PostgreSQLのインストールって毎回コマンドが多くてミスりやすいのよね…。

バージョン違いとか設定の抜け漏れを防げる、もっと確実な方法ないのかな?

RHEL系Linux環境でPostgreSQLを導入する際、手動での設定は煩雑で環境ごとの差異も生じやすいものです。

このスクリプトは、PostgreSQLのインストールから初期設定、サービス登録、起動確認までを一括で自動化する構成となっています。

設定値は外部ファイルから読み込めるため、バージョンやディレクトリ構成を容易に切り替え可能。さらに、エラーハンドリングやログ出力処理を組み込み、構築プロセスの再現性と安全性を確保しています。複数環境への展開やサーバー再構築時も、同一品質の設定を短時間で適用できる点が強みです。

再現性・保守性・スピードを兼ね備えたこの自動化設計は、開発・検証・本番運用の全フェーズにおいて有効に機能します。

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運用・保守|障害対応・監視・転送を自動化する

運用段階では、監視・通知・バックアップ・転送など、反復する作業を自動化することが求められます。 このセクションでは、障害検知から通知までの一連の処理をShellで制御し、安定稼働を支える仕組みを構築します。

サービス制御スクリプト

systemctlが使えない環境でサービスを再起動したいとき、毎回手動でプロセス確認するのが面倒なんだよな…。

もっとシンプルに、どんなサービスでも共通で制御できる仕組みって作れないのかな?

RHEL系Linuxでは、複数のサービスを効率よく制御するために、再利用可能な「汎用サービススクリプト」が有効に機能します。

このスクリプトは、systemdに依存せず任意のプロセスを対象に起動・停止・再起動・状態確認を統一的に操作できる設計となっています。

PIDファイルの有無やプロセス検知を動的に処理し、対象サービス名を引数で指定するだけで柔軟に対応可能。ログ出力やエラーハンドリングも備え、実行結果を即座に確認できます。シンプルながら実用性が高く、監視・自動化スクリプトの中核としても利用できる構造です。

特定のアプリケーションに依存しない汎用設計のため、開発・検証・本番のどの環境でもそのまま適用でき、運用効率を大幅に向上させます。

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ログ自動圧縮スクリプト

気づいたらログファイルがサーバー容量を圧迫してて焦るのよね…。
古いログを自動で圧縮・削除してくれる仕組みを入れたいけど、どう作れば安全に運用できるんだろう?

RHEL系Linux環境で日々蓄積されるログや一時ファイルを自動で整理・圧縮するための汎用スクリプトに関する内容です。

手動での削除や圧縮作業は人為的ミスを招きやすく、ディスク容量の逼迫にもつながります。このスクリプトは、指定ディレクトリ配下のファイルを対象に、更新日時や拡張子を条件に自動判定して圧縮・削除を実行。

対象期間・保存世代・圧縮形式を可変パラメータで制御でき、あらゆる環境に柔軟に対応します。さらに、実行ログを出力して処理結果を記録するため、定期ジョブにも安全に組み込めます。

シンプルな構成ながら、保守運用の自動化やバックアップ効率の向上に直結する実用的な仕組みとして、日次・週次の定期処理にも最適化されています。

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リソース監視スクリプト

サーバーが重いと思ってtopコマンド見ても、どのプロセスが原因なのかよくわからないんだよな…。

もっと簡単にCPUとかメモリの異常を自動で検知してくれる仕組みって作れないのかな?

RHEL系Linux環境でCPUやメモリの使用率を継続的に監視し、異常を早期に検知するための仕組みをスクリプトで実装する内容です。

プロセス単位の負荷を定期的に取得し、閾値を超えた際にはログ記録や通知を自動で実行。topやpsコマンドを組み合わせて動作を軽量化しつつ、監視対象の柔軟な指定が可能です。

異常検知後は、使用率・プロセス名・実行時間を自動で出力して原因追跡を容易にします。加えて、メール通知や外部監視連携などへの拡張も想定された構成で、システム障害の初動対応を大幅に短縮できます。

単なる監視ではなく、運用全体の安定性を高める“予防型スクリプト”として機能し、人的リソースを最小限に抑えながら継続監視を実現する設計です。

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ファイル転送スクリプト

ファイル転送って意外とトラブル多いのよね…。
完了ファイルの置き忘れとか、途中で落ちてデータが壊れたりとか。
もっと確実に“送れたかどうか”を判定できる仕組みが欲しい。

業務バッチや定期ジョブなどで中間ファイルを安全にやり取りするための仕組みを構築する内容です。

単純なコピーでは防げないファイル競合や転送ミスを、完了ファイル(.fin/.end)やMD5整合性チェック、排他ロックを組み合わせて回避。送信・受信モードを切り替えながら、転送の成否をログで管理できる設計となっています。

共通関数(utils.shrc)とログ出力クラス(logger.shrc)を活用し、システム間連携でも再利用しやすい構成を実現。実運用のバッチ処理にそのまま導入できる柔軟な作りで、再送やリカバリも容易です。

手動対応のリスクを排除し、安定した自動ファイル連携を実現する「運用の自律化」をテーマに設計されたスクリプトです

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完了保証型転送スクリプト

ファイル転送って途中で止まったり、片方だけ処理が進んだりすることがあるんだよな…。

確実に「送った=完了」って保証できる仕組みをどう作ればいいんだろう?

業務システムの運用では、単一ファイルではなくディレクトリ単位での転送が求められる場面が多くあります。手動ではミスや転送漏れが発生しやすいため、自動化と完了保証が重要になります。

本スクリプトは、rsyncによる完全同期とアトミックなmv処理を組み合わせ、処理の中断や上書き事故を防止。コピーと移動の両モードに対応し、転送元・転送先の関係性を厳格に検証することで安全性を高めています。

さらに共通ログ出力クラスを用いて処理状況を記録し、異常時も即座に検知可能。業務バッチやバックアップなど、運用現場で求められる信頼性と再現性を備えた“完了保証型”の設計が特徴です

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ディスク監視スクリプト

気づいたらサーバーのディスクがパンパン…。
ログやバックアップが溜まっているのは分かってるけど、どのタイミングで警告を出せばいいのか、毎回手動で確認するのも限界なのよね...。

サーバー運用において、ディスク容量の逼迫はサービス停止やデータ損失につながる重大なリスクです。

このスクリプトは、RHEL系Linux環境を対象にディスク使用率を自動で監視し、閾値を超えた際に即時通知できる仕組みを実装しています。

dfコマンドによる定期チェックに加え、監視対象のマウントポイントや閾値を設定ファイル化することで柔軟な拡張性を確保。さらに、ログ出力クラスと連携して異常時の状況を記録し、再発防止にも活かせます。

単なる監視ツールではなく、運用チームの「早期検知・即応」を支える実践的な仕組み化の一例です 。

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障害検知・自動通知スクリプト

サーバーの障害って、発生してから気づくことが多いんだよな…。systemdのログ監視で異常を自動検知して通知できたら、もっと早く対応できるのに。どうやって仕組みを作ればいいんだろう?

サーバー監視の現場では、障害の「早期検知」と「自動通知」が運用効率を大きく左右します。

PDFの内容では、systemdのログを活用して障害イベントをリアルタイムで検出し、メールやSlackなどへ自動で通知する仕組みを構築しています。

journalctlコマンドでログを解析し、異常パターンを抽出。systemdサービスと連携させることで、システム障害の発生直後に自動アクションを実行できるようにしています。

人手に頼らずとも、異常検知・通知・復旧の初動までを自動化するアプローチであり、現場の属人化を防ぎながら安定運用を実現する実践的なスクリプト例です。

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実践環境を整える

ここまで学んだ知識を実際に試すには、Linuxを動かす環境が必要です。手軽に始めるならVPSを利用するのがおすすめです。
VPS徹底比較!ConoHa・さくら・Xserverの選び方



VPSを利用してLinux環境を準備したら、実際の設定は下記の記事が参考になります。
VPSに開発環境を自動構築する方法|Apache+Tomcat+PostgreSQL

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