
GitHubは、エンジニアや開発者だけでなく、ドキュメント管理や共同作業を効率化したいすべての人にとって有用なクラウドサービスです。
この記事では、GitHubの基本的な使い方を初めての方にもわかるように解説します。アカウントの作成手順、リポジトリの作成、コードのアップロード、共同開発時の注意点まで、最新のUIと機能に基づいて一つずつ丁寧に紹介していきます。
GitHubとは何か
GitHubは、ソースコードのバージョン管理や共同開発を効率化するためのWebサービスです。
ソフトウェア開発の現場では欠かせないツールとなっており、個人開発者から大規模な企業まで幅広く利用されています。このセクションでは、GitHubの基本的な役割と、混同されやすいGitとの違いについて丁寧に解説していきます。
GitとGitHubの違い
GitとGitHubは混同されやすい用語ですが、両者は全く異なる役割を持っています。
まずGitは、ローカル環境でファイルやコードのバージョンを管理するためのツールであり、コマンドラインベースで動作します。
変更履歴を追跡したり、過去の状態に戻したり、ブランチを使って並行開発したりする機能が備わっています。
一方、GitHubはそのGitの機能をWeb上でホスティングし、他人と共有できるようにしたサービスです。GitHubを利用することで、以下のような機能が追加されます。
機能 | Git | GitHub |
---|---|---|
バージョン管理 | ○(ローカル) | ○(クラウド) |
チームとの共有 | × | ○ |
コードレビュー | × | ○ |
ブラウザからの閲覧・編集 | × | ○ |
自動デプロイ連携 | × | ○(Actionsなど) |
このように、Gitはあくまでバージョン管理のためのツールであり、GitHubはそれをインターネット上で使いやすく拡張したサービスという位置付けです。
Gitの知識がなくてもGitHubをある程度操作することは可能ですが、Gitの基本を理解しておくことで、GitHubの活用範囲は大きく広がります。
GitHubを使うメリット
GitHubを活用することには、多くのメリットがあります。特に、個人開発とチーム開発の両面において恩恵が大きく、以下のような点で評価されています。
まず第一に、GitHubは「安全なバックアップ機能」として優秀です。クラウド上にコードを保存することで、PCの故障や誤操作による損失を防ぐことができます。
次に、コードの履歴管理が自動で行われ、誰が・いつ・どの部分を変更したのかがすべて記録されるため、トラブルがあった際の原因追跡や責任の明確化が容易になります。
また、GitHubの最大の特徴として挙げられるのが「共同作業のしやすさ」です。複数人で開発を進める場合、各自が独立したブランチで作業し、それを最終的にマージすることで、衝突を避けながら進行できます。
この仕組みにより、並列開発やレビュー体制が円滑に構築できます。 さらに、GitHubには以下のような独自機能も多数存在します。
機能名 | 概要 |
---|---|
Pull Request | 他の人に変更内容を提案してマージを依頼する機能です |
Issue | 不具合やタスクをチケット化して管理できる機能です |
Actions | CI/CDなどの自動処理を構築できる自動化機能です |
Pages | 静的Webページを無料で公開できる機能です |
Gist | ちょっとしたコードスニペットを公開・共有する機能です |
これらの機能により、GitHubは単なるコード置き場ではなく、チーム開発のプラットフォームとして広く認識されています。特にリモートワークの増加に伴い、コードレビューや課題管理、デプロイまでを一元管理できるGitHubの価値はますます高まっています。
GitHubのアカウントを作成
GitHubを利用するには、まずアカウントを作成する必要があります。GitHubのアカウントは無料で作成でき、基本的な機能は全て無料プランで利用可能です。
このセクションでは、GitHubの無料プランでできることと、実際の登録手順・注意点について詳しく解説していきます。
無料プランでできること
GitHubには複数のプランがありますが、個人ユーザーや小規模チームであれば無料プランで十分に活用できます。以下は、無料プランで提供されている主な機能です。
機能 | 無料プラン | 補足説明 |
---|---|---|
パブリックリポジトリ | 無制限 | 誰でも閲覧可能なリポジトリ |
プライベートリポジトリ | 無制限 | 非公開で利用可能。チーム共有にも対応 |
Collaborators | 最大3人まで | 1つのリポジトリで共同作業可能な人数 |
Actions(CI/CD) | 月2000分 | GitHub上でワークフローを自動化できる |
GitHub Pages | 利用可能 | 静的なウェブサイトを無料でホスティング可能 |
セキュリティ機能 | 一部提供 | Dependabotによる脆弱性通知など |
このように、GitHubの無料プランだけでも、個人開発や小規模なチーム開発には十分な機能が揃っています。特に、プライベートリポジトリが無制限に使える点は、近年のアップデートで大きな魅力となっています。
アカウント登録の手順と注意点
GitHubのアカウント登録は、公式サイトから誰でも簡単に行えます。以下は、登録の流れとポイントです。
- GitHub公式サイトへアクセス
し、トップページ右上の「Sign up(サインアップ)」をクリック
- 任意の「ユーザー名」「メールアドレス」「パスワード」を入力
後「Continue」をクリック
- ロボット対策のチェックを通過して「Create account」を選択
- 確認メールが届くので、認証リンクをクリックしてメール認証を完了
- サインアップ画面からアカウント情報を入力して初期画面へ遷移
- 初期設定画面で使用目的や好みのテーマなどを選択
登録自体は数分で完了しますが、以下の点に注意してください。
- ユーザー名は一度登録すると変更が制限されるため慎重に決めましょう
- パスワードは英数字に加え記号を含めて強固に設定してください
- メールアドレスは必ず受信できるものを使いましょう
- 後から「2段階認証(2FA)」の有効化を強く推奨します。
また、初回ログイン後はGitHubから「おすすめリポジトリ」や「開発言語の選択」などを求められますが、これらはスキップしても問題ありません。
必要に応じて後から変更も可能です。 アカウント登録後は、すぐにリポジトリの作成や他ユーザーとの連携が可能になります。初めての方は、まずはパブリックリポジトリで練習用のプロジェクトを立ち上げ、基本操作を試してみるのが良いでしょう。
リポジトリを作成して管理
GitHubでは、コードを管理するための単位として「リポジトリ(Repository)」という入れ物を使います。
このリポジトリがGitHub上のすべての操作の中心となります。ここでは、リポジトリの基本的な概念から、作成手順、そしてREADME.mdの役割まで順を追って解説します。
リポジトリの概要
リポジトリとは、ソースコードやファイル、変更履歴、設定ファイルなどをまとめて保管する場所です。プロジェクトごとに1つのリポジトリを作成するのが一般的で、リポジトリを使うことで、以下のような管理が可能になります。
管理対象 | 内容 |
---|---|
コード | 実装されたソースファイル一式 |
ドキュメント | READMEや設計書などのテキスト |
履歴 | 誰が・いつ・どのファイルを変更したか |
ブランチ | 並列開発のための分岐構造 |
GitHub上のリポジトリは「パブリック(公開)」と「プライベート(非公開)」の2種類があり、用途に応じて切り替えることが可能です。個人開発や学習目的であればパブリックで問題ありませんが、商用コードや秘密情報を含む場合はプライベート設定にしておきましょう。
新しいリポジトリを作成する手順
GitHubで新しいリポジトリを作成する手順は非常に簡単です。以下に具体的な手順を示します。
- GitHubにログイン後、右上の「+」アイコンをクリック
し、「New repository」を選択
- Repository name(リポジトリ名)を入力
- 「Public」または「Private」を選択
※ 最初は「Private(非公開)」にしてください。Publicは後で切り替えればOKです。 - 「Initialize this repository with a README」にチェックを入れる(任意)
- 「Create repository」をクリックして作成完了
- 「Public」または「Private」を選択
注意点として、リポジトリ名にはスペースを使えません。また、できるだけプロジェクトの内容がわかる簡潔な名前をつけるのが望ましいです。

作成後は、自動的にそのリポジトリのトップページに遷移します。そこからファイルのアップロード、コードの編集、Issueの作成など、さまざまな操作が可能になります。
ライセンスの選び方について
リポジトリ作成時のオプションに「Choose a license」という項目があります。ここでは、ソースコードの使用条件を明示するライセンスを選択できます。これは「このコードを他人がどこまで使ってよいか」を明確にする重要な設定です。
特に理由がなければ、「MIT License」を選んでください。MITライセンスは、商用利用・改変・再配布などを許可しつつ、「著作権表示とライセンス文を残す」だけで使用できる非常に自由度の高いライセンスです。
もしライセンスを選ばずに空欄のままにすると、他人が自由に使えない状態になり、意図せず利用制限をかけることになります。必ず設定するようにしましょう。
README.mdの基本的な役割
README.mdとは、リポジトリの概要や使い方、インストール手順、ライセンス情報などを記載するファイルです。GitHub上では、このREADME.mdがリポジトリのトップページに自動で表示されるため、プロジェクトの顔ともいえる存在です。
README.mdに記載すべき基本的な構成は以下の通りです。
セクション | 内容 |
---|---|
プロジェクトの概要 | 何をするアプリ・ツールなのかを説明 |
使用方法 | 導入・実行方法をコマンド付きで記載 |
インストール手順 | 必要な依存関係やセットアップ手順 |
ライセンス | オープンソースライセンスなどの明記 |
作者・連絡先 | 開発者の名前や問い合わせ手段 |
Markdownという記法を使って整形できるため、文字の装飾やリンク、画像の挿入なども可能です。
特に、初めてリポジトリを訪問するユーザーにとって、README.mdの充実度がそのプロジェクトの信頼性や品質を判断する材料になります。
そのため、空のREADMEで放置するのではなく、最小限でも構成要素を揃えておくことが重要です。プロジェクトの公開を予定している場合は、READMEの充実度がコミット数やスター数にも影響するため、積極的に記載を行いましょう。
READMEテンプレート全文
以下は、GitHubリポジトリにそのまま掲載できるREADMEテンプレートです。
プロジェクトの概要、導入方法、使用技術などを明記することで、他のユーザーにとっても扱いやすくなります。
# プロジェクト名
このプロジェクトは、〇〇を目的とした△△のためのアプリケーション/ツールです。
## 📦 機能一覧
- 機能A:〇〇ができます
- 機能B:××をサポートします
- 機能C:□□と連携します
## 🚀 デモ
以下のリンクからデモ環境にアクセスできます:
https://example.com/demo
## 🛠️ 使用技術
| 種別 | 技術・サービス名 |
|------------|----------------|
| 言語 | Python 3.x |
| フレームワーク | Flask |
| データベース | SQLite |
| API連携 | OpenAI API |
## 🔧 セットアップ手順
以下のコマンドでローカル環境にセットアップできます。
git clone https://github.com/yourname/project-name.git
cd project-name
python -m venv venv
source venv/bin/activate
pip install -r requirements.txt
python app.py
## 📝 使用方法
1. ブラウザで http://localhost:5000 にアクセスしてください。
2. フォームに入力して送信すると、〇〇が実行されます。
## 🖊️ 設定ファイルについて
.env ファイルに以下の変数を記述してください:
OPENAI_API_KEY=あなたのAPIキー
DEBUG=True
## 🤝 コントリビュート
バグ報告・改善提案・プルリク歓迎です!
1. Issueを立ててください
2. Forkしてブランチを作成してください
3. プルリクエストを送ってください
## 📄 ライセンス
本プロジェクトは MIT License のもと提供されています。
ローカル環境とGitHubを連携
GitHubでリポジトリを作成しただけでは、まだ実際の開発には利用できません。開発は通常、自分のPC(ローカル環境)で行い、その成果物をGitHubに反映していきます。
このセクションでは、ローカル環境でのGitの初期設定から、実際にGitHubにコードをアップロード(push)するまでの手順と、.gitignoreファイルの重要性について解説します。
Linux環境でGitをインストールする
Gitを利用するには、まずローカル環境にGitがインストールされている必要があります。インストールがまだの方は、公式サイトからダウンロードして導入してください。
Linuxでは、各ディストリビューションごとにGitのインストール手順が異なります。以下は代表的な例です。ご自身の環境にあわせてコマンドを実行してください。
ここでは代表的な例として、Ubuntuを使ったインストール手順のみを紹介します。他のディストリビューションをお使いの方は、Git公式サイト(https://git-scm.com/download/linux)を参照してください。

Debian / Ubuntu 系:
sudo apt-get install git
または最新版を使いたい場合:
sudo add-apt-repository ppa:git-core/ppa
sudo apt update
sudo apt install git
Linuxにはさまざまなディストリビューション(Ubuntu、Fedora、Archなど)が存在し、それぞれでGitのインストール方法が異なります。
Personal Access Token(PAT)の利用と作成方法
Personal Access Token(PAT)とは、GitHubのアカウント認証に使う文字列キーで、パスワードの代わりに使われます。
2021年以降、GitHubではセキュリティ強化のため、HTTPS経由の操作(clone、push、pullなど)でアカウントパスワードの代替としてPATの使用が必須となりました。
特にPrivateリポジトリやAPI操作においては、PATがないと一切のアクセスが拒否されます。作成時には、有効期限やアクセス権限(スコープ)を細かく設定できます。
- GitHubにログインし、以下のURLにアクセスします。
https://github.com/settings/tokens - ページ上部の「Generate new token」ボタンをクリックします。
- トークンの用途に名前をつけ、「Expiration(日数)」を設定します。デフォルトは30日です。
- 最下部の「Generate token」ボタンをクリックします。
- 作成されたトークンが表示されるので、この場で必ずコピーして保存してください。
※再表示はできません。
- このトークンは、HTTPS経由でGitクローンする際の「パスワード」として使用します。
git clone https://github.com/ユーザー名/リポジトリ名.git
上記実行時に認証を求められたら、下記を入力してください。
・Username → GitHubのユーザー名
・Password → 作成したPersonal Access Token
GItHubの認証に成功すると下記のようにクローンが実行されます
$ git clone https://github.com/bepro-engineer/ai-omokage.git
Cloning into 'ai-omokage'…
Username for 'https://github.com': bepro-engineer
Password for 'https://bepro-engineer@github.com':
remote: Enumerating objects: 4, done.
remote: Counting objects: 100% (4/4), done.
remote: Compressing objects: 100% (4/4), done.
remote: Total 4 (delta 0), reused 0 (delta 0), pack-reused 0 (from 0)
Receiving objects: 100% (4/4), done.
※Personal Access Tokenは1度しか表示されません。貼り付けの際に画面には表示されず、「Password:」のプロンプトにそのままペーストしてエンターで認証されます。
※ 入力項目について
Expiration:
GitHubの個人アクセストークンには有効期限を設定する必要があります。無制限も選べますが、漏洩リスクが高いため非推奨です。基本は30日または90日程度を推奨し、本番環境では定期更新を前提とした管理が望まれます。
Repository access:
設定では「All repositories」を選ぶことで、あなたが所有するすべてのリポジトリに対してトークンを利用できるようになります。Privateリポジトリの操作にも対応しており、後から追加する新規リポジトリにも自動的に適用されるため、管理が非常に楽になります。
Permissions(アクセス権):
設定では、Repository permissions 内の「Contents」を「Read and write」に変更してください。これによりGit clone や push 操作が可能になります。それ以外の権限(IssuesやDeploymentsなど)は不要な限り付与しないのが基本です。
GitHubに初めてコードをアップする手順
- GitHub上で空のリポジトリを作成する
GitHubのWebページから新規リポジトリを作成し、リポジトリURLをコピーしておきます。
※ READMEの作成にはチェックを入れないでください(ローカルとの競合防止のため)。 - Gitのユーザー設定(初回だけ)
Gitをインストールした直後は、名前とメールアドレスを設定する必要があります。これはコミットの作者情報として使われます。git config --global user.name "Your Name"
git config --global user.email "your@example.com" - 既存プロジェクトフォルダに移動し、Gitを初期化する
アップロードしたいコードが格納されたディレクトリに移動し、Gitを初期化します。cd ~/projects/ai_omokage
git init - デフォルトブランチ名を「main」に変更する
Gitは初期状態で「master」ブランチになることが多いため、「main」に変更しておきます。git branch -M main
- .gitignoreファイルを作成して除外設定を行う
環境変数ファイルやキャッシュなど、Gitに含めたくないファイルを指定します。vi .gitignore
以下のように記述する例:.env
__pycache__/
*.pyc
.vscode/
*.db
.venv - リモートリポジトリ(origin)を登録する
GitHubで作成したリポジトリのURLを登録します。git remote add origin https://github.com/ユーザー名/ai_omokage.git
- 変更内容をステージに追加する
プロジェクト内のすべてのファイルをGitに登録対象として追加します。git add .
- コミットを実行してローカル履歴を作成する
追加したファイル群を「初回コミット」として保存します。git commit -m "初回コミット"
- リモートリポジトリとの履歴統合
すでにリモートに履歴がある場合、そのままpushすると競合が発生します。整合性を保つため、下記のコマンドを使用してローカルの履歴をリモートに合わせます。git pull --rebase origin main
- GitHubに初回pushする(トラッキング設定付き)
GitHubのリポジトリにローカルの内容をアップロードし、以降のpush/pull操作を簡略化します。git push -u origin main
GitHubのRepositoryへソースファイルがアップロードされているのを確認してください。

(参考URL:https://github.com/bepro-engineer/ai-omokage)
※この操作は、実行環境や既存のファイル構成によって挙動が異なる場合があります。ローカルとリモートの履歴状態に応じて適宜対応を変更してください。
既存リポジトリをクローンして作業する手順
- Gitのユーザー設定(初回だけ)
Gitをインストールした直後は、名前とメールアドレスを設定する必要があります。これはコミットの作者情報として使われます。git config --global user.name "Your Name"
git config --global user.email "your@example.com" - GitHubで作成したリポジトリをクローンする
Web上で作成したリポジトリを、自分のPCにコピーして作業を開始します。URLはGitHubリポジトリページの「Code」ボタンからコピーできます。git clone https://github.com/ユーザー名/ai-omokage.git
- クローンしたフォルダに移動する
クローンされたフォルダと同名のディレクトリが作成されるので、そこに移動します。cd ai-omokage
- ファイルを追加または編集する
このフォルダ内でREADME.mdなどのファイルを作成・編集します。エディタはVS Codeやvimなど、使いやすいものを使ってください。 - .gitignore ファイルを作成します(先に除外設定しておく)
※ .gitignore ファイルは、パスワード情報を含む環境ファイルや自動生成されるキャッシュファイルなどを、誤ってGitに登録しないようにするための設定です。vi .gitignore
※ 以下のように記述すると、環境設定ファイルや一時ファイルを除外できます:.env
__pycache__/
*.pyc
.vscode/
*.db
.venv - 変更内容をステージに追加する
ファイルの編集が終わったら、変更内容をGitに追加します(ステージング)。git add .
- 変更内容をコミットする
ステージされた変更をローカル履歴に記録します。-m の後にコメントを入れます。git commit -M "初回コミット"
- GitHubにpushする
ローカルのコミットをGitHubのリポジトリにアップロードします。git push -u origin main
GitHubでは、2021年8月以降、HTTPS経由でPrivateリポジトリにアクセスする場合はパスワードの代わりにPersonal Access Token(PAT)を使う必要があります。パスワード入力では認証エラーになります。
このコマンドでローカルブランチ名を変更し、その後pushすることでGitHubとのブランチ整合が取れます。
.gitignoreの使い方と注意点
.gitignore(ドット・ギットイグノア)は、Gitで管理「しない」ファイルやフォルダを明示するための設定ファイルです。
これにより、ビルドファイルやキャッシュ、個人設定ファイルなど、不要なデータを誤ってリポジトリに含めるのを防げます。 以下は、Pythonプロジェクトにおける典型的な.gitignoreの例です。
対象 | 理由 |
---|---|
__pycache__/ | Python実行時に生成されるキャッシュフォルダ |
.env | APIキーなどの秘密情報を含むファイル |
.DS_Store | Mac環境特有のシステムファイル |
*.pyc | Pythonのバイトコードファイル |
venv/ | 仮想環境フォルダ(容量が大きく、環境依存する) |
.gitignoreファイルは、リポジトリのルートディレクトリに作成し、以下のように記述します。
__pycache__/
.env
*.pyc
venv/
また、GitHubはリポジトリ作成時にテンプレートから.gitignoreを選択できる機能もあります。PythonやNode.jsなど、言語ごとに最適化された内容が用意されているため、必要に応じて利用すると便利です。
注意点として、.gitignoreの内容はGitに「add」する前に設定しておかないと、すでに追跡されてしまったファイルには効果がありません。 追跡済みのファイルを除外したい場合は、一度以下のようにGitのキャッシュをクリアする必要があります。
git rm -r --cached .
git add .
git commit -m "remove cached files after updating .gitignore"
GitHubを使った共同開発の方法
GitHubはソースコードを管理するだけでなく、複数人での開発やタスク管理を円滑に進めるための仕組みが多数用意されています。この記事では、初学者にもわかりやすく、共同開発に必要な基本機能を順序立てて解説していきます。
ブランチとプルリクエストの基本
共同開発を進める上で、最も基本となるのが「ブランチ」と「プルリクエスト」の活用です。複数人が同じリポジトリに同時にコードを追加・修正していく場合、直接mainブランチを編集することは推奨されません。
そこで、新機能や修正ごとに個別のブランチを作成し、作業が完了したらmainブランチに取り込むための「プルリクエスト(Pull Request)」を発行するという手順を踏みます。
git checkout -b new-feature
git add .
git commit -m "新機能の追加"
git push origin new-feature
GitHub上では、上記のブランチをPushすると自動的に「Compare & pull request」というボタンが表示されます。ここからレビューを依頼し、問題がなければmainブランチにマージします。 このフローにより、コードの品質と安定性が保たれる仕組みが整います。
IssueとProjectsによるタスク管理
GitHubはコードの管理だけでなく、開発に関わる作業の整理・可視化にも対応しています。その代表が「Issue(イシュー)」と「Projects(プロジェクト)」の機能です。 Issueは「バグ報告」「機能要望」「タスク」など、あらゆる開発作業をチケット化する仕組みです。個人でもチームでも、作業の抜け漏れを防ぐ上で非常に有効です。
# GitHub上での操作
1. リポジトリ画面 → Issuesタブ → New Issue
2. タイトルと説明を記入し、必要ならAssigneeやLabelを追加
次にProjects機能ですが、これは複数のIssueをボード形式で管理できる機能です。Trelloのようなカンバン形式で、「ToDo」「進行中」「完了済み」などのステータスを自由に設計し、チーム開発の進行管理に役立ちます。
ステータス | 内容 | 対応方法 |
---|---|---|
ToDo | 未着手のIssue | 担当者がAssigneeを設定 |
進行中 | 現在作業中のIssue | ブランチ作成後作業開始 |
完了済み | マージ・クローズされたIssue | レビュー通過後に自動反映 |
このように、コード管理と同時にタスク管理まで一括で行える点が、GitHubの大きな利点となります。
リポジトリ公開時の注意点
リポジトリをGitHub上で公開する際には、技術的な設定だけでなく法的・運用面でも重要な判断が求められます。誤った公開は情報漏洩やライセンス違反のリスクを伴うため、慎重な確認が必要です。
このセクションでは「公開・非公開の設定」と「ライセンスの選び方」について詳しく解説します。
公開・非公開の設定
GitHubのリポジトリには「Public(公開)」と「Private(非公開)」の2種類の設定があります。どちらを選ぶかによって、他者のアクセス範囲や検索エンジンへの露出度が大きく異なります。
公開リポジトリに設定すると、世界中の誰でもコードにアクセスでき、検索エンジンにもインデックスされるようになります。
一方、非公開リポジトリでは明示的に招待されたユーザーのみが閲覧・操作可能です。 個人プロジェクトやチーム開発の段階では、以下の観点から非公開を選ぶことが一般的です。
- 商用・機密コードを含む場合
- セキュリティ上の懸念がある場合
- 未完成のコードを外部に晒したくない場合
公開と非公開の設定は、リポジトリ作成時に選択できますが、作成後でもGitHubのリポジトリ設定画面から変更可能です。ただし、非公開から公開に切り替えると、その瞬間に内容が全世界に晒されるため注意が必要です。
# リポジトリの公開・非公開を切り替える手順
1. GitHub上で対象のリポジトリを開く
2. 「Settings」タブをクリック
3. 左サイドバーの「Danger Zone」までスクロール
4. 「Change repository visibility」で切り替えを選択
以下は公開・非公開の主な違いを表にまとめたものです。
項目 | Public(公開) | Private(非公開) |
---|---|---|
誰が閲覧できるか | 誰でも可能 | 招待ユーザーのみ |
検索エンジンへの掲載 | される | されない |
OSS貢献に利用 | 適している | 適していない |
セキュリティ面 | 注意が必要 | 比較的安全 |
ライセンス選択の考え方
リポジトリを公開する際に忘れてはならないのが「ライセンスの明示」です。ライセンスとは、自分のコードを他人がどのように使用・改変・再配布できるかを明文化するルールのことです。
ライセンスを記載しないまま公開すると、他者から見ると「著作権はあるが使用許可はない」という曖昧な状態となり、トラブルの原因になります。
そのため、必ず `LICENSE` ファイルを設置し、明確なライセンスを表記するようにしましょう。 代表的なライセンスには以下のような種類があります。
ライセンス名 | 概要 | 商用利用 | クレジット表記 | 派生物の公開義務 |
---|---|---|---|---|
MIT | 最も寛容なライセンスの一つ | 可能 | 必要 | なし |
Apache 2.0 | MITに加え、特許権も保護 | 可能 | 必要 | なし |
GPLv3 | 派生物にもGPLを強制 | 可能 | 必要 | あり |
BSD 3-Clause | MITに似ており、企業向けに適応しやすい | 可能 | 必要 | なし |
# ライセンスファイルの作成例(MIT)
1. リポジトリのルートに LICENSE ファイルを作成
2. 以下の内容を記載して保存
3. GitHub上で認識される
MIT License
Copyright (c) 2025 Your Name
Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy...
GitHubではリポジトリ作成時に「Add a license」オプションを選ぶことで、自動的に選択したライセンスがファイルとして追加されます。
後から追加する場合でも、`LICENSE` というファイル名で追加することでGitHubが自動認識し、プロジェクトのページにライセンス内容が表示されます。
ライセンスの選定に迷う場合は、[choosealicense.com](https://choosealicense.com) という公式ガイドサイトが参考になります。利用条件、商用可否、再配布条件などの軸で比較できるため便利です。
プルリクエストの運用ルール
GitHubを使った開発では、ルールを決めておかないと、逆に混乱を招くことがあります。そこで、最低限押さえておきたい「プルリクエスト運用ルール」を紹介します。
マージ戦略を明確化
共同開発では、誰がいつどのようにマージするかのルールが非常に重要です。代表的な運用戦略には以下のようなものがあります。
戦略 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
Squash Merge | 複数のコミットを1つにまとめてマージ | 履歴がシンプルで見やすい |
Rebase Merge | mainの履歴に新しいブランチの履歴を順番通り統合 | 履歴が直線的になる |
Merge Commit | マージ操作時にmerge commitを生成 | 全ての履歴が残るため追跡がしやすい |
チームの方針に合わせて、どれを採用するかは事前に決めておきましょう。
レビューと承認のプロセスを標準化
プルリクエストが提出された後、レビューのプロセスが必要になります。これは、バグや設計ミスを防ぐだけでなく、ナレッジの共有にも繋がります。 以下のようなレビュー体制を整えると、開発効率が格段に向上します。
- 全てのPRに対して少なくとも1名のレビューを必須とする
- レビュー依頼者は自分の意図を明記したコメントを残す
- レビュー担当者は具体的な改善案をコメントする
こうしたルールは、チームの文化として根づかせることが重要です。
GitHubを使った共同開発で注意すべき点
GitHubの共同開発には便利な機能が多い一方で、いくつかの注意点もあります。特に、初心者がつまづきやすいポイントについても触れておきます。
mainブランチを直接編集しないこと
最もやってはいけないのが、mainブランチに直接Pushしてしまうことです。これにより、他の開発者の作業が衝突したり、意図しない変更が本番環境に反映されてしまうリスクがあります。 常に新しいブランチを作成し、プルリクエストでのマージを徹底することが、共同開発の前提です。
コンフリクトの回避と対処
複数人が同時に同じファイルを編集すると「コンフリクト(衝突)」が発生します。これは避けられない問題ですが、早めにPullを行い、定期的にmainブランチと同期を取ることで発生頻度を抑えることができます。
git pull origin main
万が一コンフリクトが発生した場合は、Gitが該当箇所を明示してくれるので、適切に編集しなおして再度コミットすれば問題ありません。
git add .
git commit -m "コンフリクト解消"
こうした基本的な対応を身につけることで、チーム開発のスムーズさは大きく向上します。
まとめ
GitHubの基本的な使い方から始まり、アカウント作成、リポジトリの管理方法、共同開発の進め方、そして公開設定やライセンスの選び方までを一通り学びました。
本章では、この記事全体の要点を簡潔に振り返りながら、今後の学習ステップについても提案していきます。
本記事の内容を振り返ります
まず最初に、GitとGitHubの違いについて理解しました。Gitはローカルでのバージョン管理ツールであるのに対し、GitHubはそのGitをクラウド上で管理・共有するためのプラットフォームです。
この違いを把握することで、開発におけるそれぞれの役割が明確になったと思います。 次に、GitHubのアカウントを作成するステップを紹介しました。
無料プランであっても、プライベートリポジトリや共同作業が可能であることが確認できました。アカウント登録時に注意するポイントとして、セキュリティ強化のための2段階認証の導入も挙げられました。
リポジトリの作成と管理については、リポジトリが「プロジェクト単位の入れ物」であることを説明しました。README.mdファイルの重要性、バージョン管理の核となるコミット・ブランチ・マージといった操作、さらには`.gitignore`ファイルを使った無視ファイルの管理も学びました。
共同開発のセクションでは、ブランチを切って作業し、プルリクエストでコードレビューを受ける流れを紹介しました。これはチーム開発において重要なプロセスであり、複数人で開発する際のトラブルを防ぐ鍵となります。
また、Issue機能を使った課題管理、Projects機能を使ったカンバン方式のタスク進行方法も取り上げ、GitHub上でプロジェクト全体を見える化するための方法を提案しました。
最後に、リポジトリ公開時の注意点として、公開・非公開の設定方法と、ライセンス選びの考え方について詳しく説明しました。
コードを一般公開する際には、利用者に対してどのような使用を許可するのかを明示するために、適切なライセンスの選択が不可欠であると理解いただけたと思います。
次に学ぶべきステップを提案します
GitHubの基本操作をマスターした後は、より実践的な活用に進むことをおすすめします。以下に今後の学習ステップとして有効なトピックをまとめました。
ステップ | 内容 | 学習の目的 |
---|---|---|
1. GitHub Actionsの導入 | CI/CDの自動化パイプラインを構築 | テストやデプロイの自動化により開発効率を向上 |
2. リリース管理 | リリースタグの付け方とバージョン運用 | バージョン単位での安定コードの提供 |
3. セキュリティ管理 | Dependabotやセキュリティアラートの活用 | 脆弱性への即時対応と自動チェック |
4. コラボレーターの追加 | 権限管理とチームの役割分担 | 大規模開発へのスケーラビリティ確保 |
5. サブモジュールの利用 | 他リポジトリの再利用 | 共通コードの管理と複数プロジェクト間の連携 |
これらの技術は、個人開発を超えて本格的なチーム開発・業務開発へ進むうえで不可欠となるものばかりです。
特にGitHub Actionsによる自動化は、今後エンジニアにとって標準スキルとなる可能性が高く、早期に取り組んでおくことで差別化につながります。
今後は、自分のポートフォリオプロジェクトをGitHub上に整理し、他人から見られても恥ずかしくない構成に整えていくことが次のステップとなります。
また、オープンソースへの貢献や、他人のリポジトリにプルリクエストを送る経験を積むことで、実践力をさらに高めることができます。
GitHubは単なるコード保管庫ではなく、開発者としての「公開された履歴書」でもあります。自分の成長を記録し、他者と協働するための基盤として、今後も継続的に活用していきましょう。