トラブル体験談

【男性:41歳:トラブル】システム開発契約書を締結し損ねて大損失!

運営者のギクです。
今回のケースは、中堅システム開発会社に勤務する42歳の男性からの体験談です。
このケースは本当によくあります。
IT業界におけるトラブルの代表的なケースと言っても過言ではありません。
私が手帳を使うようになったのも、この「言った言わない」問題が多すぎるためです。
IT業界での勤務を希望する方は、絶対に読んでおくべき体験談です。
IT業界は離任率が非常に高く、いつまでも同じ担当者がいるとは限りません。
ある程度の決裁権のある方の場合、「必ず書面で記録を残す」「未来の起こりえるリスク」を常に念頭に置いておきましょう。
今回のように当事者が変わると話が変わってしまうという事は、IT業界では毎日とこかで起きているケースです。

私は、中堅のシステム開発会社で営業部の担当課長を務めている42歳の男性です。

就職活動当時はITバブル崩壊後の就職氷河期で、100社近くの企業に応募してかろうじて採用してもらった今の会社に恩義を感じて、これまで営業一筋でやってきました。

もともと人とコミュニケーションするのが好きで営業志望だったため、就職してからは楽しんで仕事に取り組んできたのですが、そんな私も入社7年目に経験した大失敗だけはいまだに忘れることができません。

古くからの付き合いがあるための油断

その当時の私は、営業職としてそれなりに経験を積んで成績も部内で上位であったため、担当する取引先との交渉を一手に任されるケースが多くなっていました。

あるとき、10年以上の付き合いがあった製造業を営んでいるクライアントから、新たに購買システムを構築したいので提案書を持ってきてもらいたいというオファーをいただきました。

私は早速社内のシステムエンジニアを集めてチームを結成し、三日三晩ほぼ徹夜して作り上げた提案書を持って意気揚々とそのクライアントを訪問したのです。

先方のIT部長は、それまでも何度かやり取りしたことがあるIT部門の部長で、同社にとって社運をかけた一大プロジェクトである点を何度も強調していたのを覚えています。

提案書を使ってプレゼンを行って数日後にその部長から呼び出しがあったので同社を再訪したところ、先方からは私の提案を採用して契約したいとの話がありました。

そこで、当社のルールに従って、開発工程を要件定義・設計、システム開発、運用テストの3つに分けて、それぞれについて契約書を締結したいと申し入れたところ、先方の部長から、大事なプロジェクトだけに開発の中断は想定していないため、工程を分けずに契約し、開発料金は全工程が完了したところでまとめて支払いたいと言われたのです。

同時に、契約書を結ぶためには彼らの法務担当者にチェックしてもらう必要があるが、そうすると条件交渉に時間がかかるだけでなく、社内の決裁を取るのも大変なので、口頭発注だけで契約したことにしてくれないかとも頼まれたのです。

どうすべきか悩んだのですが、古くからの付き合いがある重要なクライアントの頼みであり、個人的にもIT部長を良く知っていたため、結局は彼の意向を汲んで契約書を締結せずに開発プロジェクトを立ち上げることにしてしまいました。

契約書締結の不備

当初、プロジェクトは順調に進んでいたのですが、クライアント内の購買フローが予想外に複雑であったために、作成した要件定義書に従ってシステムを構築したにもかかわらず、運用テストの段階でクライアントの要望する機能が十分に備わっていないという事実が判明しました。

当方としては、先方のIT担当者に要件定義書を確認してもらったうえで、それに沿うようにシステム開発を行っており、特筆すべき落ち度はないように見受けられたため、料金を上乗せしてシステムの機能追加を行ったうえで改めて納入したいと提案したのですが、これに対して先方は、システムは不良品である以上は受け取れず、契約書も結んでいないので発注そのものが無効であると主張し始めたのです。

当事者の離任と口頭発注の危険性

私としては、当然ながらクライアントのIT部長から直々に口頭発注を受けており、契約が無効というのはあり得ないと反論し、再度部長に会わせて欲しいと申し入れを行いました。

これに対するクライアントからの回答は驚くべきもので、IT部長は先方内の手続きを守らずに口頭発注を繰り返していたために、既に依願退職しているということでした。

そのため、このままでは契約の存在を証明できずに、最悪の場合には既に開発が完了しつつあったシステム開発の料金が支払われないという問題に直面することになったのです。

冷ややかな社内からの視線

深刻な問題が発生してしまったため、私はすぐに社内の法務部に状況を説明して対応について相談したのですが、これに対する彼らの反応は、そもそもなぜ契約書を締結せずに注文を受けたのかという厳しいものでした。

すでに問題の発生は営業部内にも知れ渡っており、上司や同僚からも冷ややかな視線を浴びせられる毎日でしたので、胃が痛くなりながら出社したのを覚えています。

上司の指示と対応策

この問題に対応するため、社内で営業部の上司や法務部の担当者からなる対応チームが結成され、そこでまとまった対応策が契約の存在を裏付ける事実を収集してそれを元にクライアントに対して料金支払いを再度交渉するというものでした。

私に対しては、何でもよいのでクライアントとやり取りしたメールや書類を残らず提出するよう指示があり、パソコンの各フォルダ内をひっくり返して資料収集に当たりました。

結末

苦労して資料を集めた結果、クライアントの当時のIT部長に提案書を送付したときのメールや、それに対して彼が契約する方向で考えている旨を記したメールが見つかったほか、開発工程で作成されていた設計図などに先方担当者の判子が押されていたために、先方も契約が存在しないとは主張しきれなくなり、最終的に双方が譲歩する形で当初の契約金額の8割ほどを支払ってもらうことができました。

しかし、残りの2割は回収できずに終わったため、私のキャリアにとっては大きなマイナスとなったのです。

とるべきであった行動とは

結果論ではあるものの、クライアントのIT部長を信頼して契約書を締結せずにシステム開発を受注したために、一部料金の未回収という大問題が発生してしまいました。

一連の事案の反省点として言えるのは、多少手間と時間がかかっても契約書は締結すべきであったということです。

この事件以来、システム開発を受注する場合には、必ず契約書を締結するように心がけており、現在に至るまで同様のトラブルは発生していません。

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