IT業界トレンド

IT業界の抱える問題「長時間労働」と「多重請負」とは?

IT業界への転職に興味があるが「長時間労働」や「多重請負」等、負のイメージが頭をよぎって躊躇している方も多いと思います。

たしかに「IT企業≒ブラック」なイメージを煽るニュースは多いですが、すべての企業がブラックと言いうわけではありません。

昨今はむしろ、ブラックなイメージを払拭しようと日夜イメージ改革に乗り出すIT企業が増えてきました。

そこで、「長時間労働」と「多重請負」を調べてみました。

IT業界の抱える問題「長時間労働」とは?

これからITエンジニアとして就職や転職を検討している人のなかには、将来への希望とともに「長時間労働を強いられないか」といった不安を抱いている人も多いと思います。

たしかにIT業界といえば慢性的に残業が多く、労働環境が良くないというイメージがつきまといますが、実際のところどうなのでしょうか。

今回の記事では、統計結果をもとにITエンジニアの残業時間を解説するとともに、さまざまな企業の長時間労働に対する対策や、転職の際に役立つ情報などもあわせて紹介していきます。

ITエンジニアの残業時間は多い傾向にある

2019年に大手転職サイトのdodaが調査した結果によると、ITエンジニアの平均時間は34.4時間。これはさまざまな職種のなかでも5位に入るほどの長時間労働となっています。

ランキング上位を見てみると、もっとも残業時間が多いのが設備施工管理の41.6時間。

次いで建築施工管理の36.7時間と続きます。

しかし、これらの職種は東京オリンピックに向けた一時的な建設需要もあって影響しているものと考えられ、実質的にITエンジニアの残業時間は慢性的に多い傾向にあるのは間違いなさそうです。

ちなみに、上記のITエンジニアはアプリケーションやシステム開発系のプログラマやSEなどが中心ですが、同じITエンジニアという職種のなかでもインフラ系のエンジニアになると平均の残業時間は30時間と多少小さくなる傾向にあります。

しかし、全体的に見るとインフラ系のITエンジニアも19位にランクインしており、決して労働時間が少ない職種であるとはいえないようです。

残業時間ランキング-Doda

ITエンジニアが長時間労働になりがちな理由

IT業界における長時間労働は長年にわたって問題視されているものの、それでも依然として減少しないのはさまざまな理由が考えられます。

まず大前提として、システム開発には厳密な納期が設けられており、それまでに完成させ納品しなければなりません。

しかし、アプリケーションやシステムの開発というものは一般的な製造業とは異なり、必ずしも作業時間と必要な作業員の数が正確に予測できるものではないのです。

正確にプログラムを組んだつもりでも、いざテスト段階になると予期しないエラーやバグが見つかることも珍しくありません。

その結果、当初の想定以上に開発時間がかかってしまい、納期までに間に合わなくなってしまう結果を招いてしまいます。

仮に重大なバグが見つかったとしても開発に携わるエンジニアを追加することは簡単ではなく、結果として残業や休日出勤で対応するしか手段がなくなってしまうのです。

もうひとつの典型的な要因としては、営業担当者や顧客からの要求が挙げられます。

一般的な企業では顧客とのコミュニケーションは営業を介して行われますが、営業担当者に十分な知識がないと顧客からの無謀な要求をそのまま受け入れてしまい、結果として開発側となるエンジニアにシワ寄せが来てしまいます。

これら2つのポイント以外にもさまざまな要因が存在し、複数の要因が重なった結果として長時間労働につながっていることも多いようです。

長時間労働に対する企業の対策

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労働環境が良好とはいえないIT業界ですが、それでも多くの経営者は負のイメージを払拭するために長時間労働を撲滅するための取り組みを行っています。

なかでも、もっとも一般的な対策として「ノー残業デー」が挙げられます。その名の通り一切の残業を禁止し、全員を定時で帰宅させるというもの。

多くの企業では週1回のペースでノー残業デーを実施しており、定時で帰宅するために仕事量を調整しています。

また、徐々に浸透してきている人事制度としてはフレックスタイム制も挙げられます。

所定労働時間は定めるものの、出社時間や退社時間を決めずに各自が自由に調整できるようにする制度です。

これにより、たとえば前日遅くまで残業で残ってしまったとしても、翌日は出社時間を遅くすることもできるため、十分な睡眠時間を確保し体への負担を軽減できるメリットがあります。

ITエンジニアが残業時間が少ない企業に転職するには

ノー残業デーやフレックスタイム制といった取り組みを積極的に行っている企業は増えてきていますが、大前提として仕事量が適切に管理されていなければなりません。

人事制度が充実していると、対外的には働き方改革に積極的に取り組んでいるように見えるものです。

しかし、業務効率化や仕事量の適切な管理は外から把握しづらいもの。

そこで、業務効率化に積極的に取り組んでいるかを知るためのひとつの指標として、テレワークやコミュニケーション手段について確認しておくのもおすすめです。

在宅勤務制度が活用されていると、そもそも出社の必要がなく無駄な会議もなくなり時間を有効的に活用できます。

また、コミュニケーション手段としてメールではなくSlackやChatWorkなどのチャットツールが導入されていると、テレワークでも円滑なコミュニケーションが取りやすくなります。

これらの制度を導入しているからといって必ずしも残業時間が少ないと断言できるものではありませんが、少なくとも従来の働き方よりは効率的であるといえるでしょう。

これからITエンジニアとしてプログラマやSEなどに転職する際には、それぞれの企業がどのような人事制度を導入しているのかも確認しながら判断してみてください。

転職エージェントの活用

4. 思い切って転職する

とはいえ、実際に残業時間が少ない企業を探すのは大変です。

そこで、ITエンジニア専門の転職エージェントを活用してみるのも良いでしょう。

ITエンジニア専門の転職エージェントは、膨大なIT企業情報の宝庫です。

転職エージェントの担当者は普段から企業へ訪問し、求人票やホームページからはわからない企業の内情を知っています。

自社のイメージを落としかねない残業の多い会社の案件や、ブラックな会社の案件等は、転職エージェントの方で予め排除してくれます。

転職エージェントに一度登録してしまえば、あとはメールを確認しつつ、興味ある案件に応募するだけです。

どのサイトも登録は無料で5分程度で終わりますので、是非この機会に行動してみましょう。

◆ IT系に強い(転職)エージェント
◆ IT系に強い(派遣)エージェント

IT業界の抱える問題「多重請負」とは?

多様な働き方が増えてきているなかで、IT業界が未経験でも応募できる求人案件も少なくありません。

それらの中には派遣や客先常駐として働く案件も存在し、「仕事をしながらITエンジニアとしての実務が身につけられる」と考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、IT業界において「多重請負」というものが問題視されることも多く、特にこれからITエンジニアとして転職を検討している人にとっては注意が必要です。

今回の記事では、多重請負の問題点や転職時に気をつけたいポイントもあわせて解説していきます。

派遣と請負の違い

多重請負を解説するうえで混同しがちなのが、派遣と請負の違いについてです。

まず、「派遣」というのはその名の通り派遣先企業に人材を派遣し、その企業の担当者から指揮命令を受けて業務を遂行するというものです。

たとえば人材派遣会社から大手メーカーに派遣された労働者の場合、雇用関係は派遣会社にあり給与も派遣会社から支払われますが、実際の業務の指示や命令は大手メーカー側から受けることになります。

一方、「請負」の場合、請負業者と注文業者が存在し、両社の間では請負契約が結ばれます。業務を請け負った請負業者は労働者に対し仕事を発注しますが、この間には指揮命令関係はありません。

いわば労働者は、何らかの成果物を請負業者に納品することで関係が成立するものといえるのです。

いわゆる派遣社員は人材派遣会社に雇われている一方で、業務請負として働く労働者の場合は、全く異なる第三者の企業に雇われているケースやフリーランスとして働いている人材であることが少なくありません。

ポイント

  • 派遣(派遣先の指揮命令を受ける)
    • 派遣社員
  • 請負(勤務先の指揮命令を受けない)
    • 個人事業主、フリーランス

多重派遣は違法

IT業界に限らず、派遣労働者に対する多重派遣(二重派遣)は違法となっています。

多重派遣とは、派遣先企業であるA社が第三者の企業であるB社へ派遣させることを指します。

派遣社員から見ると、もともとの契約はA社と結んでおり指揮命令権もA社にあるはずです。

しかし、そこからさらにB社へ派遣されてしまうと実質的な指揮命令者はB社ということになります。

もしB社が人材派遣をしてほしいという希望があるのであれば、派遣会社はA社と契約するのではなくB社と契約し直す必要があるのです。

多重請負は合法だが問題点もある

多重派遣と混同しがちなのが多重請負契約です。

IT企業に限らず、さまざまな業界において「下請け」、「孫請け」として仕事を受注している会社が存在します。

このような構造は多重請負とよばれますが、いずれも発注企業と受注企業が請負契約を結んでおり、それ自体が違法ではありません。

しかし、問題になりがちなのが客先に常駐して業務を行うケースです。

たとえば、A社が基幹システムの開発のためにB社に依頼したとします。

その後B社は下請けのC社と請負契約を結び、C社の労働者が開発を担当することになりました。

しかし、基幹システムの開発は業務の特性上、A社の社内で行わなければならないケースも考えられます。

結果としてC社の労働者はA社に常駐することになります。

このとき、C社の労働者は開発に専念してA社から一切の指揮命令を受けていないのであれば問題ないのですが、常駐先ということもありA社の担当者が直接的にC社の労働者に対して指揮命令を行うことも考えられます。

実質的にC社の労働者はA社の派遣労働者のように扱われることも懸念され、多重派遣と同じような構造になってしまいます。

また、多重派遣には構造的な問題も指摘されています。

大規模な開発プロジェクトになればなるほど、二次請け、三次請けと請負会社が存在し、下流になればなるほど利益が出にくい構造になっています。

また、直接的に開発に関わるというよりは裁量権の小さい仕事が多く、エンジニアとしてもスキルアップが難しい案件も多い傾向にあります。

労働環境を見極めるために必要なポイント

全ての多重請負案件が悪いということではなく、中には適切な条件のもとで請負契約を結び良好な労働環境を提供している企業もあります。

しかし、全体的な傾向として見たときに、多重請負による客先常駐の求人は決して安心して応募できるものとはいえません。

求人情報を見る際のポイントとしては、「常駐」の文言があったら特に注意が必要です。

また、最近では常駐という文言を避けて表現している求人案件も少なくありません。

見極めのポイントとしては、勤務地や勤務時間などの条件が「客先に準じる」と記載されているものは特に注意が必要です。

ITエンジニアが転職を成功させるための秘訣

ITエンジニアとして成長でき、より良い条件の会社へ転職を目指すのであれば、まずは自らのスキルを向上させることが大前提となります。

好条件の求人情報を見つけたとしても多くのITエンジニアが応募するため、高い競争倍率になることが少なくありません。

ライバルと差別化し自分自身を売り込むためには、プログラミングスキルを磨くことが第一条件といえるでしょう。

最近では「未経験歓迎」を謳う求人情報も多いですが、当然のことながら学校のように手取り足取り仕事を教えてくれる企業はほとんどありません。

必然的に未経験者は下流の案件からスタートせざるを得ないことも多く、仕事をしながら勉強を続けることは簡単ではないはずです。

まずは自分自身がどのようなITエンジニアになりたいのか、明確な目標を定めたうえで、それに必要なプログラミング言語や資格などの勉強を始めてみることがおすすめです。

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