プログラマーとして働きたい人、プログラマーとして働いて欲しい会社、双方増えていく方向にあります。
プログラマーに限らず、転職する場合は誰もがその職を未経験で転職します。
プログラマーも例に漏れませんが、専門職ですので、独学でどれだけ勉強したかどうかは、実務の現場で差がでます。
つまり未経験と言っても、実務未経験と全くの未経験では全然異なるという意味です。
今回は、プログラマーは未経験でも転職できる?というテーマで持論を論じたいと思いますが、同時に未経験の定義については結構大事なポイントになります。
未経験からプログラマーに転職したい方、自分の未経験はどういう意味の未経験なのかを考えながら参考にしてみてください。
未経験といっても幅広い
プログラマーは非常に奥の深い職業であり、且つ技術の進歩がめまぐるしい業種です。
最先端を行く人たちに追いつこうものなら、どれだけ勉強しても新たな課題が生まれてきますし、そんな最高レベルまで達しなくても仕事は十分にあります。
一言でプログラマーと言っても、言語も違えば、求められるレベルやチームでの開発方法などは会社によって異なる場合が多く、レベルはそれに応じて多種多様です。
同時に、未経験という言葉も曖昧です。
- (A)プログラマーとして転職したことや業務をしたことがない
- (B)プログラミングそのものをやったことがない
- (C)概念的なものやちょっとしたマクロは学校で習ったが、それをプログラミングというのかわからない
これらが代表的な区分分でしょうか?
それでは、だいたいの会社の求めるプログラマー像と、これらの未経験を見ていきましょう。
(A)未経験=プログラマーとして転職したことや業務をしたことがない
おそらく、「未経験歓迎」とうたって募集をかけている会社がいう未経験に最も近いのはこれではないでしょうか?
わかりにくいかもしれませんが、仕事、業務としてやったことがないというだけで、プログラミング自体はある程度できるということが前提です。
つまり、プログラミング経験自体はあるのです。
新卒でもない限りは基本的にこの状態で転職活動に望んだほうが無難でしょう。
「未経験歓迎」を未経験でもゼロから手取り足取り教えてくれる教育制度の充実した会社だと考えるのは軽率です。
「研修あり」とか言ってあっても、その研修はプログラミングができる前提の研修であることが多いのです。
社内での開発方法やコード管理、規則、独自システムの運用・メンテナンスに関わる引き継ぎなどです。
(B)未経験=プログラミングそのものをやったことがない
会社がいう未経験が上記に対し、いざ転職したいと志望してくる人に多いのがこれです。
たしかに、バイトなどで「未経験歓迎」といえば、ゼロから指導してくれますので、気持ちはわからなくもないです。
ただし、プログラミングというのものは興味や才能が本当にあれば、自らの意思で独学で学ぶことが可能です。
これは普通のバイトとは少し異なるでしょう。
また、会社もその自発性を求めていることがあるため、全てを教えてもらおうという根性自体がマイナスになります。
厳しいことを言ったように聞こえたかもしれませんが、自分で学ぶ能力がない人はどうあれ長くは続かないというのも現状です。
多少は教えてもらえますが、何から何まで質問に答えていたら、先輩プログラマーは仕事になりませんし、あなたのためにもなりません。
基本的には自分で調べて解決できるようになるのが理想でしょう。
その上で、「このやり方で良いですか?」と聞くのは良いと思います。
(C)未経験=学校で習ったが、それをプログラミングというのかわからない
上記に混じって結構いるのがこのタイプです。
いわゆる「少しかじった程度」というヤツではないかと思います。
学校にも寄るのですが、特に実務的な内容を詳しく教わったのでないなら上記同様の意味の未経験として扱われるでしょう。
また、「全くの未経験ではない」とアピールしたいのでしょうが、実力が伴っていないなら逆効果です。
「習ったことがプログラミングというのかわからない」というのは、一見ダメですが、稀に本当にプログラミングを習っていたというケースがあります。
情報処理関係の勉強をしてきて自然とSQL構文を理解していたり、IFやFOR関数の使い方は知っていたり、数学に精通していたりなどです。
こういったものに該当する場合、転職しようとする会社に活かせるかどうかをしっかりと調べ、言い方を変えれば転職できるかもしれません。
ただしあくまで求められているのは「プログラマーとして転職したことや業務をしたことがない」これですので、内定した後は猛勉強をした方がいいでしょう。
転職するなら未経験でもプログラミングの勉強は必要
まとめると、プログラマーに転職してプログラマーとして活躍しようと思ったら、未経験であろうとなかろうと勉強が常に付いて回ります。
どうせそうなるなら、初めから勉強しておいたほうが良いですし、その方が転職できる可能性も高くなるでしょう。
勉強しているうちに、"勉強する方法"を勉強できることで、飛躍的にプログラミングスキルが向上します。
転職にフォーカスすると結局損するのは自分
突然ですがプログラマー未経験であるあなたに質問です。
あなたはプログラマー職に転職しました。
これであなたもプログラマーでしょうか?
イエスと言い切った人は、その証拠を見せて下さい。
おそらく出来ないはずです。
看護師なら国家資格が、弁護士なら弁護士バッジがあります。
プログラマーにはそういったものはありません。
もちろんプログラマー関係の国家資格もありますが、それを持っていなければ転職できないわけではありませんし、持っているからプログラマーとはいえません。
これは何を意味しているかというと、プログラマーは、コックや大工のように、最初は「見習い」からスタートするのが基本です。
最も、プログラマーそのものが新しい職種なので明確に「見習い」と「一人前」を区別するようなことはありませんが、裏ではそれが存在していると思って下さい。
プログラマーに転職できたことは、ゴールではなくスタートです。
転職したところから、プログラマーになるという道が始まるのです。
このことを勘違いする要因は、一昔前の転職氷河期など"で転職(さえ)できたらハッピー"という価値観が浸透しているせいと言えます。
たしかに無職よりは良いかもしれませんが、プログラマーやコック、大工などはなってからの方がよほど大変なのです。
これをわからないからこそ、全くの未経験で転職活動をする人も現れるのだと推察します。
良い悪いではなく、いち先輩プログラマーとして言わせてもらうと、それで転職してしまったら苦労するのは自分だ、ということです。
普通の会社は親切で、甘く見ているからそれに耐えられない、そもそも舐めてる、バックレられたら困る、等の理由で不採用にするわけです。
ところが、稀に全くの未経験でも転職できる会社がある!?
「やはり「全くの未経験」でも採用されるなんて考えは甘すぎたか・・・いや、それでも探せば「全くの未経験」でも採用してくれる会社もあるはずだ!」
と考えたあなた、たしかにそうでしょう。
否定はできません。
事実、そんな会社を知っています。(あなたのために教えませんが)
甘い言葉には罠があるのです。
その某会社を例にあげれば、いわゆる典型的なブラック企業で、残業は無制限当たり前、でも今何かと話題の裁量労働制度を採用しているといって残業代は一切出ず、できてなけば休み無し、というワ◯ミ顔負けの会社です。
私の友人の友人がそこに転職しました。
当初「全くの未経験」なんだから転職なんかできっこないと思っていた私は驚きました。
シンプルに「そういう会社」もあるんだと思ったものです。
しかし、2ヶ月後その人にあうと、すっかり痩せているではありませんか。
おそらく10kgは痩せたと見られます。
元々普通よりやや太いくらいの体格は方がコケて丸みが消えていました。
ダイエットをするような人ではないので明らかにまいっていたのです。
未経験なのにプログラミングの仕事を押し付けられ、「できるようになればできる」と理不尽なプレッシャーをかけられていたのです。
さすがの「全くの未経験」で勉強しなかった彼も、寝る間も惜しんで勉強していましたが、長くは続かず心が折れ最後には退職してしまいました。
彼は、そのブラック企業のことを北朝鮮と呼んでいました。
つまり厳しすぎるノルマと会社の体制が悪すぎて人が長続きせず、慢性的な人手不足だったとのこと。
そのせいもあって過去に訴訟問題を起こしたり、社長の金遣いが荒すぎて資金繰りも難航。
始末が悪い事に営業部だけ優秀だったため、仕事は常にパンク状態。
プログラマー含む制作部は常に火の車だったそうです。
生きて脱北できてよかったと心から思います。
なお、たらればな話ですがもし彼がその北朝鮮で何とか仕事をこなし続けたとすれば、猛烈な技術力や知識を身につけられたでしょうね。
実際、その会社に残っていた人たちはものすごく仕事のできる人たちだけだったそうです。
そういう会社もあるということでしょう。
あくまで知人の体験ですが、転職に焦点をあてると結局損するのは自分という意味の答えになります。
プログラマーに転職してからがスタートライン
プログラマーは職業柄、めまぐるしいプログラミング言語や技術の進歩で勉強とは切っても切れません。
いくら独学で勉強しても、それが現場で活かせるかは分かりませんし、未経験者には現場は総じて辛く厳しいものでしょう。
あなたは、転職するために勉強をしていたのではなく、プログラマーになるために勉強をしていたはずです。
転職は単なるスタートラインであり、あなたは転職したからといってまだプログラマーではありません。
転職はプログラマー人生のマラソンのスタートを切ったに過ぎません。
大変なのはここからです。
また、走っているとゴールらしきものは常に見えていますが実際にはゴールはないマラソンです。
とても大変なレースかもしれませんが、裏を返せばいつでも逆転のチャンスがあるということ。
あなたの頑張り次第でどんどんできるようになるし、どんどんお給料もあがっていく、夢のある職業と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「未経験」の定義を大きく3つにわけましたが、求人を出している会社の未経験の意味は「プログラマーとして転職したことや業務をしたことがない」が大半です。
このことをよく理解していないと、プログラマーになることや、プログラマーの世界で生きるのは厳しいということがおわかりいただけたかと思います。
「プログラミングそのものをやったことがない」「学校で習ったが、それをプログラミングというのかわからない」も転職自体は出来ないとは言いません。
しかし、転職出来たあとのことを真剣に考えるなら、遅かれ早かれプログラミングの勉強に追われることになるでしょう。
プログラマーに転職して最初のころは、いきなり海に突き落とされて「泳げ」と言われたような感覚になることがあります。
それくらい右も左もわからないのは、どの職業でも一定程度同じ側面があるでしょう。
しかしプログラミングは予習が可能です。
この時、泳ぐ練習としていた人と、泳いだことがない人、泳げるかわからない人、生き残る可能性が高いのはどの人ですか?
生き残った上で"上手に速く美しく"泳げるようになりそうな人はどれですか?
どうせなら"上手に速く美しく"泳ぎたくありませんか?
未経験でプログラマーに転職したいなら、あなたが目指す「理想のプラグラマー像」と技術面では「勉強する方法」を身につけましょう。
後者は実践あるのみです。
もしスキル面に自信がないなら、急がず焦らず今は勉強することをおすすめします。
それが"上手に速く美しく"泳ぐ近道です。
どんな技術的問題や知識面の壁が立ちはだかっても、それを何とか解決するための勉強を惜しまないことが重要で、繰り返すことで「勉強する方法」が身につきます。
「転職=プログラマー」ではありません。
本当にプログラマーになりたいのならば、ちょっと遠回りのようですがこういう考え方もあるという参考になれば幸いです。